超音波治療器の「超音波」とはどのようなものなのでしょう。「超音波」とは? そして、超音波治療器の開発の歴史を紹介しながら、その特徴を詳しく紹介します。
超音波治療器とは? 眼科用超音波治療器の開発の歴史を紹介しながら、その特徴を詳しく紹介しています。YouTubeの「視力回復Jinチャンネル」をご覧ください。
ゲームやパソコンで視力低下が進むお子様には球技がオススメ。遠くを見たり、近くを見たり、眼の運動をスポーツとして日常的に取り入れることができます。
超音波の眼科への応用は、時代の要請!
一般に人に聞こえる周波数の範囲(可聴域)は、低い音で20ヘルツ、高い音で2万ヘルツくらいまでの間です。こうした人に聞こえる音を、可聴周波といいます。これより高い周波数の音波、つまり「人間の聴覚器官では捉えられない周波数の高い音波」のことを超音波といいます。逆に、可聴周波より低い周波数の音波つまり「人間の聴覚器官では捉えられない周波数の低い音波」のことを低周波といいます。
しかし、広義の意味では、「人間の耳で直接聞くことを目的としない音波」のことを超音波といいます。つまり、2万ヘルツ以下の音波でも、それが直接聞く事を目的としないものならば、それも超音波ということになります。別の言い方をすると、使用音波が可聴域にあっても、人間が聞くことを目的としない場合の音波域の応用を超音波技術と定義されていていて「低数帯域超音波」というのです。
心電図も超音波です。
超音波治療器は、「ピィ~」という音が聞こえます。これは、広義の意味での超音波1万2000ヘルツを採用しているためです。 音は、空気中を振動して伝わってきます。その振動波は高い振動波から低い振動波までかなり幅があり、さまざまな特性を持っています。そのため、これまで多くの分野で研究が進められ、利用されてきました。代表例としては、漁業に使われている魚群探知機や、身体の内部の状態を外から診断するための医療用スキャナー、振動波を利用したマッサージ機器などです。
超音波は、マッサージ機器のように理学療法の分野で当初、利用されてきましたが、眼科への応用は困難とされていました。
治療対象となる眼球は、きわめて精密な組織ですし、眼球そのものも大変小いため、超音波の投射は危険がともなうとされていたのです。なにしろ、非常に高い周波数の超音波には、破壊作用もあるほどです。眼球にとってほどよい振動とはどの程度のものなのか特定しなくてはなりません。眼球の細胞に対して、特定されたほどよい超音波を間違いなく投射するためのコントロール技術も必要です。
しかし、眼科への応用は、時代の要請でした。
山本博士が「眼科用手持ち超音波治療器」を完成させる。
眼科の世界的権威として知られる山本由記雄博士を中心としたグループが、近視の治療に超音波を取り入れはじめました。山本博士は1962年に、芝浦工業大学の岩竹松之助教授、石田博講師らの協力を得て、ついに「眼科用手持ち超音波治療器」を完成させたのです。
この「手持ち超音波治療器」についての研究は、第16回日本臨床眼科学会、ついで1964年の第1回国際近視学会で発表され、国内だけでなく海外でも大変な反響を呼びました。
山本博士の研究論文によれば、そのときの博士の臨床実験では、仮性近視および真性近視になって2年以上たっている10歳以上の患者を対象に、1~2日間隔で20回、1回につき10分間、片眼に超音波を投射する治療を行ったといいます。そして結果は、2週間~3週間で視力の向上が見られ、多くの人は第1回投射後ただちに視力が上昇したといいます。
その後の治療効果についての追跡調査も加えられています。それによると、超音波を開始してから1年以上の期間にわたって観察した結果、近視の患者の視力改善はもとより、眼球の屈折率が改善していることがわかったのです。
角膜の屈折率が改善したという意味は、近視の改善が一時的なものではなく、さらには近視の進行を食い止める根本的な治療効果があることを明示するデータということができます。こうして「眼科用手持ち超音波治療器」は、厚生省から初の認可を受けることになったのです。
安全かつ副作用のないもの、これは必須の条件!
目はたいへん精密な組織です。
だからこそ、目に直接投射する方法で治療に用いられる超音波は、絶対に安全かつ副作用のないものでなくてはなりません。これは必須の条件です。
国から認可を受けた超音波治療器には、使われている低数帯域の縦波の超音波には、次のような特徴があります。
①超音波の中でも音響出力がごく微弱である。
②発振周波数が、ヒトの生体組織細胞がもつ固有振動周波数に対応した適切な低数帯域周波発振数である。
③振動が抵抗なく組織細胞に深く吸収され、かつ障害を起こさない。
つまり、安全かつ副作用がないということです。
補足になりますが、たいへん興味深いことに、超音波を投射している目だけでなく、もう片方の投射していない目のほうにも、同様の効果があらわれることです。よく両方の目はつながっていて、片方の目が悪くなるともう片方の目も悪くなるといわれますが、その逆も起こるということでしょう。
視神経は内部で交叉しているので片目に投射すると、両眼に効果が及びます。
超音波だから目の深部まで到達しマッサージ。
また、マイクロマッサージで眼球全体をやさしくもみほぐすと、眼球内の血行は促進され、新陳代謝が活発化します。さらに血行がよくなった網膜は、その解像力を高め、「よく見える」という状態になります。
その結果、弾力性を取り戻した毛様体筋により、水晶体の調節がスムーズになることで、ピントが網膜できちんと合い、視力の回復につながるのです。
超音波治療器を目に当てると、どんな変化が起きるの?
超音波治療器によるマイクロマッサージを行うと、眼球はどのような状態になるのでしょうか。臨床実験の例をもとに、その経過を紹介してみましょう。
スイッチを入れ、10分間超音波を当てると、次のような直接的な効果があらわれます。
最初に、眼球の網膜血管が拡張していきます。
網膜の血管には、新鮮な血液を送り込む動脈と老廃物を回収する静脈があり、とくに動脈の拡張の度合いが大きくなっていきます。また、末梢にいくほど拡張率が大きくなることが測定されており、著しい血行の改善がみられます。
マイクロマッサージ効果による改善点は、血行だけではありません。
眼球の壁の硬さがやわらぎ、眼圧の低下がみられます。眼球組織の柔軟性が取り戻されるため、そうした状態になるのです。
次に、眼球内を満たし、循環している、房水の流出抵抗が弱まります。柔軟性がよみがえるため、房水が出やすくなるのです。加えて、新鮮な房水を生み出す能力も増加します。
さらに、眼球内に生息している細菌の発育が抑制されます。
マイクロマッサージの働きは、こんなにあった!
①眼細胞の新陳代謝
筋肉や視神経をはじめ、複雑な眼球の細胞全体の新陳代謝を促進します。
②酸素反応の亢進
酸素は新陳代謝に欠かせないもので、血液をとおして常に細胞に供給されています。必要な酸素が眼の細胞に供給されるときは、供給する側の毛細血管中で酸素が減少します。マイクロマッサージ効果で、この酸素反応が高まることが確認されています。
③栄養付与の亢進
眼球への栄養素の供給が活発化します。
④酸素供給の亢進
眼球への酸素供給が増加します。
⑤寄生細菌の死滅
眼球組織に寄生している細菌類が減少します。
⑥炎症抑止・鎮静
炎症には、痛みを伴うようなものだけでなく、なんとなくといったものや無自覚のものがあります。こうした炎症を抑止し、鎮静する効果があります。超音波治療器を使った後に感じるすっきりした爽快感は、この炎症鎮静作用によってもたらされるものです。
近視は不健康なホメオスタシス状態。
有益な効果をもたらす超音波治療器は、ホルミシスの好例。
“ホメオスタシス”に対比する言葉に“ホルミシス(Hormesis)”がある。ホルミシスとは、高濃度または大量に用いられた場合は有害となるある物質が、低濃度または微量に用いられた場合には、生物活性を刺激したりして有益な効果をもたらすという現象をいう。
よく知られているのが、低放射線ホルミシス(低線量放射線)。世間では、放射線というと体に有害なものと認識されている。確かに、放射線は大量に浴びると体に害を与える。が、地球上には常に微量の放射線が放出されてる。この自然放射線の10~100倍の放射線を浴びると、健康にいいということがわかってきている。
例えば、岩盤浴や温泉などで使用されている天然ラジウム鉱石は、水に入れるとラドンという放射線を発する。微量のラドンが体内に入ることによって、細胞が刺激されて新陳代謝が向上。免疫力や自然治癒力がアップすることが、実験や臨床応用で証明されている。
「これも放射線ではなく、漬物の『キムチ』には欠かせない唐辛子で考えると分かりやすい。唐辛子の辛味の主成分であるカプサイシンは、毒性があるということがいわれていて、摂りすぎは良くないが、少量であればエネルギー代謝を活発化し、体脂肪の分解を促進する働きがあるのです。
ホメオスタシスの日本語訳である恒常性の『恒』は、星の恒星と同じ字を使い、動かない、変化しないという意味です。一方、ホルミシスは日本語訳が見つけにくいが、しいて訳せば『刺激賦活性(しげきふかつせい)』とすると理解しやすい。 賦活の意味は 、活力を与えること、物質の機能・作用を活発化すること、です。
人間は刺激を与えないとダメです。一人で音もない密閉した部屋に閉じ込められると、3日間で気が狂ってしまう。外部の刺激がないと生きていけない」
超音波治療器に使われている超音波の働きは、このホルミシスの面から見ると分かりやすい。非常に高い周波数の超音波は、破壊作用もあるほど危険だが、微弱な超音波は、人の細胞活性を刺激したりして有益な効果をもたらす。超音波治療器の微弱な超音波をあてることで、血流が良くなり、細胞も活性化するのだ。
超音波治療器は、不健康なホメオスタシスの状態の目に対し、有害となる量に達しない少量の刺激(ホルミシス)をもたらすことで、健康なホメオスタシス状態の目に戻す働きをする。まさに、超音波治療器は“ホメオスタシス”“ホルミシス”を説明する上で好例といえる。